2017年12月29日金曜日

2017年もご愛顧いただきありがとうございました。

いつもご愛顧いただき誠にありがとうございます。
2017年も、残すところあと数日となりました。
市川店は、12月28日が本年最後の営業となっております。
また、年始は1月5日から営業をいたします。

年末年始で、急なご注文や修理のご相談などのお問い合わせは
12月31日18時まで松坂屋上野店にてお承りをいたしております。
また、年始は1月2日より営業いたしますのでお手数をおかけしますが
こちらまでよろしくお願いします。

【松坂屋上野店】
東京都台東区上野 3-29-5 PARCO側地下1階
03-3832-1111 10時~20時 ※12月31日は18時閉店

2017年12月18日月曜日

12月営業日のご案内

こんにちは。
新年まで残りわずかとなりましたが、ここで市川店の今年の営業日のご案内を差し上げます。

開店日が少なく変則的になっておりますので、恐れ入りますがご来店の際はご注意くださいませ。

<営業日> ※休業日ではありません、お店が開いている日です
18(月)
21(木)
23(土)
24(日)
28(木)

なお、松坂屋上野店は元日以外は年中無休で営業しております。
ご用命がございましたら、そちらで承ることもできますので、どうぞご利用ください。

2017年12月2日土曜日

道具のメンテナンス〜製甲ハンマー編〜

こんにちは。
今回は職人が使う道具の話です。

「弘法は筆を選ばない」といいます。書の世界ではそうなのかもしれませんが、革の世界ではなかなかそうはいきません。悪い道具を使うと、単純に製作物の品質が低下し、作業効率もダダ下がりします。
例えば、切れない包丁やカッターで革を切れば、革が伸びて寸法が狂いますし、無理な力を入れると怪我をします。
そんな悲劇を回避するためにも、作業に適切な道具を選ぶこと、そしてその道具がベストコンディションで使えるよう、日々メンテナンスしておくことは必要不可欠であります。

そんなわけで、革を叩く「製甲ハンマー」というとんかちの一種をお手入れしてみましたのでごらん下さい。
ハンマーの打面を、紙やすりで磨いていきます。

 
最初の状態を撮影しませんでしたが、こちら100番のやすりをかけているところです。


 150番がかけ終わったあたりです。


 600番くらいまでかけると、曇りがだんだんとれてきます。


これで800番。鏡面に近づいてきました。


 1000番。表面の微細な傷が残っていますが、かなりピカピカです。
この辺まででも十分実用に耐えうるのですが、せっかくなのでもう少し磨きましょう。


 1500番。さらに光ります。


2000番で終わりにしました。
鏡面に近い仕上がりになっています。


後ろも使うので磨いておきました。


とんかちの打面を、なぜこんな執拗にピカピカさせておくのか。
その第一義は「革を傷つけない」ことです。

この製甲ハンマーと呼ばれるとんかちは、靴を作る工程で革を叩くときに使います。
打面に傷があったり、汚れていたりすれば、当然叩かれた革は傷つき、汚れます。ハンマーの傷や汚れは、お見せしたように磨けば直りますが、革はそう簡単にはいきません。

ハンマーの打面をピカピカにしておくと、汚れが非常につきにくくなります。
打面の微細な傷が少ないということは、そこに入り込んでくる目に見えないような汚れも付きづらい、それに付随する水分も付きづらい、つまりサビにくいということになります。
錆びた打面に気づかずに使ったりしたら悲嘆に暮れますし、加速度的に進行するサビは削って落とすのが面倒で時間を取られます。

ピッカピカにして汚れにくくサビにくい状態にしておけば、しばらくはメンテナンスをする必要がなくなるほどです。
職人の道具として格好いいというのもポイントです。思わず誰かに見せたくなるツルッツルさ。ミシンがけしている時に、打面の鏡で背後の状況をさりげなく確認するという技も使えます。(使いません)

あとは、木の柄を使いやすい丸みにやすったり、長さを好みにしてみたりと色々あります。自分だけの道具を自分で作るのも楽しいものです。


(石川)

2017年11月25日土曜日

靴アッパーの修理<第2話>

こんにちは。
今回も、前回に引き続き靴のアッパーの修理に関してお話しします。

前回は、革のひび割れを糊付けでなんとか履けるようにしたものでしたが、アッパーで多いものの一つに、縫製部分の剥がれがあります。





多いのは、よく曲がる場所や、擦れる場所です。
この靴の場合、トウ(つまさき)のキャップ縫製部分が、ちょうど屈曲部分にもなっていて、壊れやすかったようですね。
画像では、すでに修理用の糸を通してあります。



違う靴の画像ですが、こちらもつま先部分のよく擦れる場所の糸が磨耗して、革が剥がれてしまっていました。

直し方は単純です。
画像にあるように、縫製し直せば良いのです。ただし、靴の内部が狭すぎてミシンがけすることはできないので、手縫いでの作業になります。
外から針を通し、次に中から同じ穴に針を通し……の繰り返しです。

難しいのが、外から針を入れた穴と同じ場所を目がけて、靴の内部から外に向かって針を通すことです。つま先の部分ともなると、内視鏡でもない限り内側からの穴は見えないので、文字通り手探りの、ある程度神経を使う仕事になります。






無事に縫い終わりました!
これでまた、しばらくは履き慣れた靴を使うことができますね。

修理に関しては、語っても語りつくせないほどネタがありますので、また小出しに色々掲載していこうと思います。

できるかできないか、実際に挑戦してみないとわからないものもたくさんありますが、愛用していたのに捨てようか迷っているものなどありましたら、是非お気軽にご相談ください。

(石川)

2017年11月18日土曜日

靴アッパーの修理

こんにちは。
今回は靴の修理についてお話しします。

靴、特に革靴は、製法にもよりますが、靴底を交換したり、減った部分を補修することで末長く履き続けることができます。
しかし、靴底はある程度壊れても修理できますが、靴のアッパー(甲革ともいいます。底より上の部分全体を指します)にトラブルがあった場合、修繕が不可能であることも多いのです。

修繕不可の代表格は、亀裂です。




例えばこんな感じの壊れ方です。
歩行による負担の大きい屈曲部のシワは、乾燥したままお手入れしないでいると、やがて亀裂に変わってしまう宿命です。
写真の革のように、表面がピカピカに仕上げられていて、お手入れの養分が入りにくい革も注意が必要です。

この件に限っては、直せません、と言いつつ……



このようになりました。
厳密には直っていないのですが、ご依頼主の強いご希望により、とりあえず履ける状態にしたものです。
元どおりにすることはできないので、なるべく違和感のない革を貼り付ける方法を選びました。やっていることは工作みたいなものなのですが、それなりの見栄えを考えると、これが意外と難しいのです。

少し長くなりそうなので、続きはまた次回!
なんとなくお楽しみに!
(石川)

2017年11月11日土曜日

オーダー革製品……?

こんにちは。
ご注文いただいた品物を作っているところなのですが……、一体なんでしょう?






型紙が長いのでボール紙を使っています。



十数メートル分の素材を、大雑把に裁断したあと、それをまた小さく本裁断して、縫製して……


むむむ、これは……

椅子カバーの完成!

撮影用に工房の椅子にかぶせてみましたが、実際はご自宅の椅子の保管用に使用されるとのことです。6脚分製作しました。
素材は一見布みたいに見える革……、だったらすごいテクノロジーなのですが、そうではなく、布です。ブロードという、シーツやワイシャツに使われる布を使用しました。

革製品のお店と思いきや、ご希望に応じていろいろ作っております。
(石川)

2017年11月3日金曜日

【市川店】11月の営業日案内

こんにちは。
11月4日より、二天一流総本舗「松坂屋上野店」のオープンに伴いまして、市川店の営業日が変則的になっておりますので、ご案内いたします。

ご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承いただきますよう、お願い申し上げます。

<開店日>
5(日)
6(月)

9(木)
10(金)

12(日)

16(木)
17(金)14:00で閉店します
18(土)
19(日)
20(月)14:00で閉店します

23(木)
24(金)14:00で閉店します
25(土)
26(日)

2017年10月28日土曜日

かごをアレンジ2

かごをアレンジの、よりフォトジェニックな姿をご覧にいれましょう。
若い奥様から、冬に向けて、かごのバスケットを毛皮でアレンジしたいとのご依頼を頂きました。

















今回は、お客様お持ち込みの毛皮を使用しました。
顔部分が残っているのが生々しいですが、気持ち悪がっていては失われた命に失礼です。素敵な品物に生まれ変わって頂いて、手向けといたしましょう。


















適当な大きさに裁断し、黒の裏地を縫製していきます。
毛皮は毛足があるので、それを生かそうとすると寸法通りに作るのはなかなか難しいです。今回は裏地を袋状に縫製して、ひっくり返す方法を選びました。
















ひっくり返して、内側に閉じ込められた毛をほじって外に出していきます。

















かごの持ち手部分に接続するためのベルトと、革ひもを装着。
裏地の中にちょっとしたものを入れてもいいように、縫製で完全にふさがずにボタンでポケットにしてみました。

















完成!
涼しげなバスケットが、なかなかおしゃれな冬用バッグに変身しました。毛皮は簡単に取り外せるので、一年中お使い頂けるものです。

持ち手部分の革は、先に手縫いで縫いつけておいたものです。
















反対側。ベルトは先端を切り込み、クロスさせて止めることでリボンのような可愛らしさを出してみました。

開けるとこんな感じです

















私は納品に立ち会えなかったのですが、とても喜んで頂いたようです。
インスタグラムとかにアップして頂いたりしてるのでしょうか。それはそれで嬉しいですが。
(石川)

2017年10月14日土曜日

かごをアレンジ

こんにちは。

作ったり修理したりリメイクしたりと、色々やっている我ら二天一流総本舗ですが、お持ちの品物にちょっとしたアレンジを加えることも承っています。

例えば、よくご注文を頂くものではこちら。
















トウやタケやシラカバなど、植物で編んだかごの入れ物は、持ち手がささくれたりしますね。そんな持ち手には、革を縫い付けてしまいましょう。
















以前クラシックカーのハンドルカバーなどをやりましたが、それと要領は同じです。一目一目穴を穿って、手縫いで縫っていきます。
















ご希望の通りに仕上がりました。
お客様は黒がお好きだとのことでしたが、ベージュのステッチが本体の色と合わせてあって、可愛らしいアクセントになりました。

かばんやくつだけでなく、インテリアやエクステリア、例えばドアノブに革を縫い付けた例もあります。冬の鉄門扉が冷たい……というようなお悩みも、オシャレに解決できるかもしれませんね。できるかどうかは応相談ですが、お気軽にどうぞ!

(石川)

2017年10月7日土曜日

コードバンの輝き

こんにちは。

革にも色々な種類がありますが、高級革の代名詞とも言えるものに「コードバン」があります。
コードバンは馬革です。馬革の大部分は牛革に比べて繊維がゆるくて柔らかいのですが、馬のお尻の部分に繊維が非常に密になっている場所があり、硬質に美しく輝く革「コードバン」になります。
馬であればなんでもいいわけではなく、限られた欧州の農耕馬(代用馬もあるようですが)からのみ取れるということで、希少性もあり、また「革の宝石」とも言われる美しさから、通常流通している牛革などと比べてかなり高値で取引されています。




こちらはコードバンでご注文を頂いた、とある小物の製作途中のものです。

革の存在感が全然違うので、ついうっとり眺めてしまいます。
なかなか扱う機会がないもので、裁断からミシンがけまでいつも以上に緊張しましたが、運もよかったのか、かなり精度の高いステッチを入れることができました。

今は、納品棚でお客様が迎えに来るのを待っているところです。
私もお渡しできる日が楽しみです。

(石川)

2017年9月30日土曜日

かばんの染め直し(手染め)

革は、生のままの状態(皮)から、なめしを経て仕上げに至る(革になります)製造工程で、何度も着色をしています。その方法も、染料で芯から染色したり、表面にスプレーして好みの色に仕上げたりと色々です。
その革が、かばんや靴になって、使用されて月日を経るうちに、摩耗して表面の色が落ちてしまうことがあります。


















使用されている材料にもよりますが、この落ちた色を補色し、染め直すことも可能です。
今回は、皮革用染料による手染めで染め直しをしたお話です。


◆材料の吟味、試し

お預かりしたかばんを、染められそうな素材かどうか、実際に染料で染めてみてチェックします。
染料は、皮革メーカーで製造時に使用されたものは手に入りませんので、染料を絵の具のように調色して、もともとの色にできるだけ近くなるようにがんばります。
青系なのにごく少量だけ赤を入れてみるとか、赤じゃなくてエンジにしてみるとか、複数の色の配合を工夫するのは案外楽しい仕事です。
実際作った色が、素材にのって、乾燥するとまた色が変化してしまったりするので、実に微妙な仕事でもあります。

完成度が低くなりそうな時は、この時点でお客様にお返しし、別のお手入アドバイスや、他の方法などをご案内しています。


















◆染色本番

写真のかばんは、色も素材も大丈夫そうなので、勇気を出して染色を進めました。
染色に使用する道具は、スポンジや刷毛でもいいですが、水分を含みすぎてムラになることもあるので、最近はいらない布に含ませて薄塗りを繰り返す方法も使います。


右の持ち手は染色後です






















◆仕上がり

染色が無事に終わったら、最後に仕上げを行います。主に色落ち防止を目的に、今回は仕上げ剤で全体をコーティングしました。



















◆雑感

染め直しの手染めパターンをご紹介しました。
経験上、染料による手染めの完成度、成功率は、素材に左右されるところが大きいですが、理想に近い色に染められるとうれしいのです。

ご相談は、お気軽にどうぞ。

(石川)

2017年9月23日土曜日

ランドセルのリメイク

こんにちは。

誰でも、思い出の品というのは手放しにくいものですよね。
今回は、そんな思い出の品、「小学校のランドセル」をリメイクしたお話です。

ご相談は、お母様から寄せられました。
6年間、子供と一緒に成長をしてきたかのような、あるいは親御さんと一緒に、子供を見守ってきたかのようなランドセルは、捨てるに捨てられない思い出の品なのでしょう。

オーダーは、「子供がこれから先も使っていけるような品物」に生まれ変わらせることでした。


◆まず解体

かぶせの部分が合皮製のランドセルでしたが、解体してみると、6年もの間、雨にも風にも時には椅子代わりにされたりしても負けず壊れず使い尽くされることを想定して作られているだけあって、かなりの堅牢性を誇る素材でした。

また、このランドセルには目立つ傷がほんの数箇所しかなく、椅子代わりどころではなく、とても丁寧に扱われていたことがうかがわれました。















◆裁断

今回は小物を3点作るので、素材の面積に比べてパーツの数が多いのです。
歩止まりをパズルのように考えて素材を裁断しましたが、どうしても取れない部分については、雰囲気の合う牛革で補いました。
















◆縫製とコバ処理など色々して完成

通学用のパスケース、500円玉の入るキーホルダー、キーケースの3点の完成です。
画像ではわかりませんが、わざと傷のある部分を使用して、6年間の思い出が、持ち主をこれからも支えてくれるように、演出を加えました。

お母様のアイデア。500円玉が入れられます。































◆雑感

ランドセル用の合皮の耐久性には驚かされました。持ち主とともに6年間の艱難辛苦邪智暴虐(いやいや)の数々を乗り越えてもなお、新品のような作業性、そして外観。
古いカバンだと、内袋が合皮でボロボロになったりするのをよく修理しますが、そんな気配は微塵もありませんでした。
これからも、今までの6年間と変わらず、いつもそばで持ち主の成長を見守っていってほしいのものですね。


◆リメイク、修理のご相談などお気軽にどうぞ

捨てられなくて困っているものや、しまいこんだままのカバンや靴など、もしかしたら生まれ変わるかもしれません。
ご相談は、お気軽にどうぞ。ご予算に合わせたご提案もがんばります。

(石川)

2017年9月14日木曜日

久々の更新

ご無沙汰しております。
ブログを久々に更新する市川店の石川です。
※自画像です














個人的な近況ですが、引越しをしたり、京都の大丸さんへ出張して、折良く五山の送り火を観たりなどしておりました。京都はいいですよ。寺社仏閣最高です。

それはともかく、またぼちぼちブログを楽しく更新して参ろうかと思いますので、何かと至らぬ点や粗雑な点があるかと思いますが、ご覧の方はどうぞよろしくお願いいたします。


 <参考作品>
最近作ったネームタグです。
「のぶき」さんからご注文をいただきました。
「字体は遊んでください」とのことでしたので、自由にやらせていただきました。

オリジナルネームタグは、すべてフリーハンドの下書きから製作しています。
大体2,000円くらいからご注文をお受けしております(難しいと高価な名札になります)ので、お気軽にご相談ください。


パターン用紙に下書き




鋭角カッターの出番です
(石川)

2017年8月27日日曜日

9月のお休み

市川店 9月の休業日は
5. 6. 11. 12. 19. 22. 25. 26日となります。

2017年7月22日土曜日

ギャラリー二天

藤本和則 絵画展

たくさんの方々にご来店いただき、ありがとうございます。
24日までとなっております。残り3日となりました!
お時間がありましたら、ふらり市川店へぜひご来店くださいませ。







本日より
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中山店  7.22 〜 8.6 (close 7.26  8.2)