2017年12月2日土曜日

道具のメンテナンス〜製甲ハンマー編〜

こんにちは。
今回は職人が使う道具の話です。

「弘法は筆を選ばない」といいます。書の世界ではそうなもかもしれませんが、革の世界ではなかなかそうはいきません。悪い道具を使うと、単純に製作物の品質が低下し、作業効率もダダ下がりします。
例えば、切れない包丁やカッターで革を切れば、革が伸びて寸法が狂いますし、無理な力を入れると怪我をします。
そんな悲劇を回避するためにも、作業に適切な道具を選ぶこと、そしてその道具がベストコンディションで使えるよう、日々メンテナンスしておくことは必要不可欠であります。

そんなわけで、革を叩く「製甲ハンマー」というとんかちの一種をお手入れしてみましたのでごらん下さい。
ハンマーの打面を、紙やすりで磨いていきます。

 
最初の状態を撮影しませんでしたが、こちら100番のやすりをかけているところです。


 150番がかけ終わったあたりです。


 600番くらいまでかけると、曇りがだんだんとれてきます。


これで800番。鏡面に近づいてきました。


 1000番。表面の微細な傷が残っていますが、かなりピカピカです。
この辺まででも十分実用に耐えうるのですが、せっかくなのでもう少し磨きましょう。


 1500番。さらに光ります。


2000番で終わりにしました。
鏡面に近い仕上がりになっています。


後ろも使うので磨いておきました。


とんかちの打面を、なぜこんな執拗にピカピカさせておくのか。
その第一義は「革を傷つけない」ことです。

この製甲ハンマーと呼ばれるとんかちは、靴を作る工程で革を叩くときに使います。
打面に傷があったり、汚れていたりすれば、当然叩かれた革は傷つき、汚れます。ハンマーの傷や汚れは、お見せしたように磨けば直りますが、革はそう簡単にはいきません。

ハンマーの打面をピカピカにしておくと、汚れが非常につきにくくなります。
打面の微細な傷が少ないということは、そこに入り込んでくる目に見えないような汚れも付きづらい、それに付随する水分も付きづらい、つまりサビにくいということになります。
錆びた打面に気づかずに使ったりしたら悲嘆に暮れますし、加速度的に進行するサビは削って落とすのが面倒で時間を取られます。

ピッカピカにして汚れにくくサビにくい状態にしておけば、しばらくはメンテナンスをする必要がなくなるほどです。
職人の道具として格好いいというのもポイントです。思わず誰かに見せたくなるツルッツルさ。ミシンがけしている時に、打面の鏡で背後の状況をさりげなく確認するという技も使えます。(使いません)

あとは、木の柄を使いやすい丸みにやすったり、長さを好みにしてみたりと色々あります。自分だけの道具を自分で作るのも楽しいものです。


(石川)

2017年11月25日土曜日

靴アッパーの修理<第2話>

こんにちは。
今回も、前回に引き続き靴のアッパーの修理に関してお話しします。

前回は、革のひび割れを糊付けでなんとか履けるようにしたものでしたが、アッパーで多いものの一つに、縫製部分の剥がれがあります。





多いのは、よく曲がる場所や、擦れる場所です。
この靴の場合、トウ(つまさき)のキャップ縫製部分が、ちょうど屈曲部分にもなっていて、壊れやすかったようですね。
画像では、すでに修理用の糸を通してあります。



違う靴の画像ですが、こちらもつま先部分のよく擦れる場所の糸が磨耗して、革が剥がれてしまっていました。

直し方は単純です。
画像にあるように、縫製し直せば良いのです。ただし、靴の内部が狭すぎてミシンがけすることはできないので、手縫いでの作業になります。
外から針を通し、次に中から同じ穴に針を通し……の繰り返しです。

難しいのが、外から針を入れた穴と同じ場所を目がけて、靴の内部から外に向かって針を通すことです。つま先の部分ともなると、内視鏡でもない限り内側からの穴は見えないので、文字通り手探りの、ある程度神経を使う仕事になります。






無事に縫い終わりました!
これでまた、しばらくは履き慣れた靴を使うことができますね。

修理に関しては、語っても語りつくせないほどネタがありますので、また小出しに色々掲載していこうと思います。

できるかできないか、実際に挑戦してみないとわからないものもたくさんありますが、愛用していたのに捨てようか迷っているものなどありましたら、是非お気軽にご相談ください。

(石川)

2017年11月18日土曜日

靴アッパーの修理

こんにちは。
今回は靴の修理についてお話しします。

靴、特に革靴は、製法にもよりますが、靴底を交換したり、減った部分を補修することで末長く履き続けることができます。
しかし、靴底はある程度壊れても修理できますが、靴のアッパー(甲革ともいいます。底より上の部分全体を指します)にトラブルがあった場合、修繕が不可能であることも多いのです。

修繕不可の代表格は、亀裂です。




例えばこんな感じの壊れ方です。
歩行による負担の大きい屈曲部のシワは、乾燥したままお手入れしないでいると、やがて亀裂に変わってしまう宿命です。
写真の革のように、表面がピカピカに仕上げられていて、お手入れの養分が入りにくい革も注意が必要です。

この件に限っては、直せません、と言いつつ……



このようになりました。
厳密には直っていないのですが、ご依頼主の強いご希望により、とりあえず履ける状態にしたものです。
元どおりにすることはできないので、なるべく違和感のない革を貼り付ける方法を選びました。やっていることは工作みたいなものなのですが、それなりの見栄えを考えると、これが意外と難しいのです。

少し長くなりそうなので、続きはまた次回!
なんとなくお楽しみに!
(石川)

2017年11月11日土曜日

オーダー革製品……?

こんにちは。
ご注文いただいた品物を作っているところなのですが……、一体なんでしょう?






型紙が長いのでボール紙を使っています。



十数メートル分の素材を、大雑把に裁断したあと、それをまた小さく本裁断して、縫製して……


むむむ、これは……

椅子カバーの完成!

撮影用に工房の椅子にかぶせてみましたが、実際はご自宅の椅子の保管用に使用されるとのことです。6脚分製作しました。
素材は一見布みたいに見える革……、だったらすごいテクノロジーなのですが、そうではなく、布です。ブロードという、シーツやワイシャツに使われる布を使用しました。

革製品のお店と思いきや、ご希望に応じていろいろ作っております。
(石川)

2017年11月3日金曜日

【市川店】11月の営業日案内

こんにちは。
11月4日より、二天一流総本舗「松坂屋上野店」のオープンに伴いまして、市川店の営業日が変則的になっておりますので、ご案内いたします。

ご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承いただきますよう、お願い申し上げます。

<開店日>
5(日)
6(月)

9(木)
10(金)

12(日)

16(木)
17(金)14:00で閉店します
18(土)
19(日)
20(月)14:00で閉店します

23(木)
24(金)14:00で閉店します
25(土)
26(日)

2017年10月28日土曜日

かごをアレンジ2

かごをアレンジの、よりフォトジェニックな姿をご覧にいれましょう。
若い奥様から、冬に向けて、かごのバスケットを毛皮でアレンジしたいとのご依頼を頂きました。

















今回は、お客様お持ち込みの毛皮を使用しました。
顔部分が残っているのが生々しいですが、気持ち悪がっていては失われた命に失礼です。素敵な品物に生まれ変わって頂いて、手向けといたしましょう。


















適当な大きさに裁断し、黒の裏地を縫製していきます。
毛皮は毛足があるので、それを生かそうとすると寸法通りに作るのはなかなか難しいです。今回は裏地を袋状に縫製して、ひっくり返す方法を選びました。
















ひっくり返して、内側に閉じ込められた毛をほじって外に出していきます。

















かごの持ち手部分に接続するためのベルトと、革ひもを装着。
裏地の中にちょっとしたものを入れてもいいように、縫製で完全にふさがずにボタンでポケットにしてみました。

















完成!
涼しげなバスケットが、なかなかおしゃれな冬用バッグに変身しました。毛皮は簡単に取り外せるので、一年中お使い頂けるものです。

持ち手部分の革は、先に手縫いで縫いつけておいたものです。
















反対側。ベルトは先端を切り込み、クロスさせて止めることでリボンのような可愛らしさを出してみました。

開けるとこんな感じです

















私は納品に立ち会えなかったのですが、とても喜んで頂いたようです。
インスタグラムとかにアップして頂いたりしてるのでしょうか。それはそれで嬉しいですが。
(石川)

2017年10月14日土曜日

かごをアレンジ

こんにちは。

作ったり修理したりリメイクしたりと、色々やっている我ら二天一流総本舗ですが、お持ちの品物にちょっとしたアレンジを加えることも承っています。

例えば、よくご注文を頂くものではこちら。
















トウやタケやシラカバなど、植物で編んだかごの入れ物は、持ち手がささくれたりしますね。そんな持ち手には、革を縫い付けてしまいましょう。
















以前クラシックカーのハンドルカバーなどをやりましたが、それと要領は同じです。一目一目穴を穿って、手縫いで縫っていきます。
















ご希望の通りに仕上がりました。
お客様は黒がお好きだとのことでしたが、ベージュのステッチが本体の色と合わせてあって、可愛らしいアクセントになりました。

かばんやくつだけでなく、インテリアやエクステリア、例えばドアノブに革を縫い付けた例もあります。冬の鉄門扉が冷たい……というようなお悩みも、オシャレに解決できるかもしれませんね。できるかどうかは応相談ですが、お気軽にどうぞ!

(石川)